音楽映画

ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ|音楽映画

旧東ドイツ生まれの性転換ロック・シンガー「ヘドウィグ」が幼い頃に母から聞いたプラトンの「愛の起原」にあるような自分のかたわれ(=愛)を探して全米各地を巡る物語。
そんな彼女の人生が、彼女自身の魂の歌と共につづられる。

あらすじ

同性愛者のヘドウィグは、相方と結婚するために性別適合手術を受けるが、捨てられてしまう。
アングリーインチの由来は、ヘドウィグが受けた性別適合手術が失敗し、股間に「怒りの1インチ(アングリー・インチ)」が残された事によるもの。

絶望の中、昔抱いていたロックスターになる夢を叶えようと奮闘している中に出逢った
同志のトミーに恋した。しかし、アングリーインチがバレ別れる。トミーはヘドウィグの楽曲を盗んで一躍トップスターになる。

こんな人にオススメ!
  • 愛だの恋だのうるさい人
  • 同性愛者という事を隠している方
  • 業務的に音楽を作っている方
アイデンティティと音楽の交差点

ジョン・キャメロン・ミッチェルが監督・脚本・主演を務めた2001年の作品です。この映画は、東ベルリン出身のトランスジェンダーのロックミュージシャン、ヘドウィグの衝撃的でありながら心温まる物語を描いています。映画は、ヘドウィグがアメリカでの成功を夢見て壁の向こうへと旅立つ様子から始まります。

この作品の核心は、ヘドウィグのアイデンティティ探求と彼女が直面する多くの挑戦です。ヘドウィグは、音楽を通じて自己表現を試み、自分自身と向き合います。彼女の音楽は、生々しく、情熱的で、ときには切ないものです。映画のサウンドトラックは、ロック、パンク、グラムロックの要素を融合させたもので、その歌詞はヘドウィグの生き様と完全にシンクロしています。

映画はまた、愛と喪失、裏切りと再生といった普遍的なテーマを扱っています。ヘドウィグの旅は、彼女自身のアイデンティティを探求するだけでなく、観客にも自己発見の旅を提供します。彼女の物語は、個人が直面する内面的な葛藤と、社会が抱える性的アイデンティティに関する偏見を巧みに絡めて展開します。

映画のビジュアルと演出も見事で、キャラクターの感情を色鮮やかに表現しています。ヘドウィグの衣装やメイクは、彼女の個性と内面の戦いを象徴しており、視覚的にも強烈な印象を与えます。また、映画はコメディとドラマを巧みに織り交ぜ、ヘドウィグのユーモアと脆さを同時に描き出しています。

「ヘドウィグ・アングリーインチ」は、性別の境界を越え、個人のアイデンティティとは何かを問いかける映画です。ヘドウィグの物語は、音楽を通じて自分自身を表現しようとするすべての人々にとってのインスピレーションとなっています。

この映画は、トランスジェンダーの人々やLGBTQコミュニティにとって特に重要な意味を持っています。ヘドウィグの経験は、多くのトランスジェンダーの人々が直面する現実を反映しており、彼らの声を大きくするのに一役買っています。また、映画は性別の固定観念に挑戦し、多様性と包容性のメッセージを発信しています。

総じて、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は、深い感情を呼び起こすストーリーテリングと、強烈なビジュアル、魅力的な音楽が見事に融合した作品です。ヘドウィグの物語は、観る者に深い印象を残し、多くの重要なテーマについて考えるきっかけを提供します。この映画は、ただのエンターテイメント作品を超え、社会的な意識を変える力を持っていると言えるでしょう。

結論として、「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」は単なるエンターテイメント作品を超えた、深い社会的・文化的意義を持つ映画です。この作品は、アイデンティティ、自己受容、愛という普遍的なテーマを、独特で魅力的なスタイルで描いています。ヘドウィグの物語は、性別や社会の枠組みに縛られない自由な自己表現の重要性を強調し、多くの人々に勇気とインスピレーションを与えてきました。

この映画が持つ文化的影響は計り知れず、LGBTQコミュニティやトランスジェンダーの人々の表現に対する理解を深める助けとなっています。また、映画は観客に自己のアイデンティティを探求する勇気を与え、異なるバックグラウンドを持つ人々に対する共感と理解を促進しています。

「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」のストーリー、音楽、ビジュアルは、時代を超えて多くの人々に愛され続けており、映画史において特別な位置を占めています。この映画は、多様性と包容性のメッセージを発信し続け、私たちの社会において重要な役割を果たしています。今後も、ヘドウィグの物語は新たな世代の人々に影響を与え、彼らに自分自身を見つめ、理解するきっかけを提供し続けるでしょう。

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ざっくり感想

ヘドウィグが唄う楽曲は、とにかく凄まじい。歌詞に魂をえぐり取られそうになる。こんな楽曲、造ろうと思ったって造れるもんじゃない!
和訳で十分なので、ちゃんと歌詞を噛みしめながら聴いてほしい。
彼女の魂の唄は、普通の人からしたら偏った”愛”の形に見えるかも知れないが、個人的に大好きだ。

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イチタ ユウタ

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忙しい日々だからこそ、音楽で心豊かにをモットーに。
映画音楽から民族音楽まで幅広いテリトリーを武器に取材。

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