元フィギュアスケート高橋大輔選手がエキシビジョンで採用した「Luv Letter」は、作曲・ピアノ演奏での代表作の1つ。
これまで、テレビ・ラジオ番組テーマ曲・BGM、ゲーム・映像作品等数多くの音楽制作に携わる。ゼロからCDプレスのデザインまでこなす”こだわり”は楽曲にも色濃く出ている。
また、日本工学院ミュージックカレッジ サウンドクリエーター科講師も務めている。
TSUKINOSORAさんの代表作でもあり、取材をするキッカケとなった曲
YouTube等で「Luv Letter」を検索するとDJ OKAWARIさんの楽曲のような扱われ方をしていますが、正真正銘TSUKINOSORAさんが作曲・ピアノ演奏まで行っています。
TSUKINOSORAという名前の由来は?
元々は、音楽だけでなく絵、詩、デザイン等の表現出来るものをmixiで公開していて、その時のハンドルネームがTSUKINOSORA(つきのそら)だったのでそのまま使用しています。
――絵は今も描いているのですか?
今は全然描いていません(笑)
今のポジションに至るまで
――ピアノは幼少からですか?
実は幼少から演奏していたのは、エレクトーンなんです。4、5才から20才位まで続けていました。教員レベルのグレード(YAMAHA特有の階級)を取得したかなというレベルです。
現在、エレクトーンは全然弾いていないので足(ベース部分)が動かないんじゃないかな。
――大学は日本の音楽大学へ?
いいえ。高校卒業後は、音楽とは全く関係ないアメリカの大学へ行きました。無脊椎動物学を学んだり、乗馬したり、色々しました。
――きっかけは何だったのでしょうか?
やはり、当時は若かったので「好奇心」ですね。色々なものを感じたかったんでしょうね(笑)。
――アメリカから帰国してから音楽活動を?
いいえ(笑)。帰国後は一旦、普通の職に就きました。携帯ショップやアクセサリー店で働いてみました。が、「何か違う」って常に思っていました。
その時期にmixiを始め、自分の作品をアップすると反応があるのが楽しくて、どんどん作品をアップしていました。それが、キッカケで少しずつ仕事につながる依頼が来たりしました。
作曲をする時のインスピレーションは?
悲しみと絶望ですね(笑)。悔しい、悲しい、辛いで産まれていますね。
穏やかに過ごすことを受け入れてしまうと曲が作れないんですよ。作れないというか、作っても何か違うって自分で気づいてしまうんです。今は郊外に一軒家を購入してスタジオ兼事務所として作業をしていますが、制作意欲を引き出すために、引越しをよくしています。
楽曲制作でこだわっている点は?
まず、楽曲にあう楽器の音色をふるいにかけています。弦1つとっても沢山ある音源の中から合うものを選択しています。
そして、メロディーラインがどうすれば1番よく生きるように聴こえるかを考えて調整しています。
――マスタリングまでしているんですか?
そうなんです。おおまかに曲を作るのに2日掛かったら、マスタリングは大体1ヶ月掛けています。メインのモニタスピーカーで良いと思っても、10種類のスピーカーやヘッドフォンなどを通して聴くようにしています。音はその日によって感じ方も違う場合があるので、ある程度期間を設けるようにしています。そちらの方が大変です。なのでCD裏面のクレジットにあまり人名が居なくて寂しいんですよね(笑)
あまりライブとかしないのですか?
作品にもよりますが、ピアノだけではなくフルオケなど壮大なものも多くあり、ライブハウスなどで行うのは自身の楽曲に持つイメージと違う気がして、ずっとピンとくるような場所を探し続けています。グランドピアノがある場所で、私の作品とイメージが合いそうなスペースがあれば是非教えてください(笑)
新作アルバム
来年1月21日に発売予定。世界中で活躍するハープ演奏家Tamsin Dearnleyを招いてTSUKINOSORA作品の人気タイトルをアイリッシュハープ用に再アレンジ&プロデュースによるアルバム第一弾。
――なぜ、ハープなのですか?
ハープと言うより、彼女(Tamsin Dearnley)が弾くハープの音に「和」を感じたんです。私の楽曲とマッチするのではないかと思ってお願いをしました。畳部屋のスタジオで録音しました。
また、来年2月頃に渋谷タワーレコードでCD発売記念スペシャルコンサートが行われるらしいです。
TSUKINOSORA 作曲家・サウンドクリエイター・ピアニスト ――明日、地球が滅びるなら何を食べる? |
取材まとめ
作曲をする時のパワーの源は悲しみと絶望と言い切ったTSUKINOSORAさん。
察しの通り、決してポジティブ思考ではない彼女は、とてもとても色々な事に気が付く人だと感じました。人よりも沢山の事に気が付いてしまうから、こだわりが強い。正直”疲れる性格だろうな”と思いました(笑)。だからこそ、TSUKINOSORAさんの楽曲は儚く繊細で綺麗なのだと納得しました。個人的に映像や絵画、演劇等何でも良いですが、音楽以外のアートのプロとTSUKINOSORAさんがコラボしたら面白そうだなと期待を抱いてしまう魅力的な方でした。これからも、TSUKINOSORAの動向から目が離せない。