Lo-fi hip hop(ローファイ・ヒップホップ)という音楽ジャンルを、君は知っているだろうか?
1950年代から存在していたというこの音楽は、2018年頃からYouTubeのライブストリーミング配信やSpotify、Apple musicなどのサブスクリプションを通して、音楽好きの若者を中心にじわじわとその存在感を現していった。
現在では、カフェや飲食店でも多く流され、トップクリエイターのYouTubeライブストリーミングは登録者数500万人越えとなった、この最先端音楽の実態に迫っていこう。
Lo-fi hip hopとは?
Lo-fi hip hop(ローファイ・ヒップホップ)とは、端的にいうと「エモくて」「チルな」インストサウンドだ。
YouTubeやSoundCloudにて、ライブストリーミング配信、または、1時間ないし2時間ほどの「作業用」「勉強用」トラックなどとして配信されていることが多い。
しかし、SNS上で広まっただけに音楽としての定義づけは特になく、そのような点も実に「イマドキ音楽らしさ」を強く感じられる。
Lo-fi と Hi-fiの違い
『Lo-fi(ロー・ファイ』が聞きなれない人でも、『Hi-fi(ハイ・ファイ』なら何となく目にしたり、聞いたりしたことがあるのではなかろうか?
Lo-fiはHi-fiの対義語になる。
Hi-fi(ハイ・ファイ)とは
ハイ・フィデリティ(Hi-Fidelity)の略。
Hi:高い
Fidelity:忠実
という意味で、音響機器分野において、その機器から再生される音が「(ノイズなどがなく)原音を忠実に再現している事」を意味する。
なので、音響機器などにはHi-fiの表記を用いられる事が多い。
Lo-fi(ロー・ファイ)とは
ロー・フィデリティ(Lo-Fidelity)の略。
Lo:低い。という意味なので、Hi-fiとは逆の「(ノイズなどがあり)原音の再現度合いが低い事」を意味する。
なので、音響機器など、わざわざLo-fiとは表記しないため見慣れない人も多い。
実際の代表的な楽曲を聴くとイメージが湧くのではないだろうか?
代表的なクリエイターとしては、以下が主であろう。
ChilledCow
lofi hip hop radio – Beats to Relax/Study to
言わずと知れた「Lo-fi hip hopクリエイターの第一人者」。2015年、フランスを起点としてスタートしたということが知られているが、ほか詳細は謎に包まれている。
ところで注目したいのは、そのアートワーク。
日本人であれば、見た人誰しもが「ん??」と思うであろう。
そう、ジブリの世界観を実によく醸し出している。クリエイターがジブリファンであるのか、ジブリ音楽に影響を受けた過去があるのか、そういった事情はよく分からない。
しかし、このチャンネルの多くのアートワークにジブリの世界観を感じられることから、スタジオジブリがこのクリエイターに何らかの影響をもたらしたことは間違いないであろう。
Chillhop Music
L’indécis – Soulful
ChilledCowに続いて有名どころとなっているのが、このチャンネル。Bas van Leeuwenというクリエイターによって、オランダを拠点に作られた。
ChilledCowと異なる点としては、音楽レーベルとしての機能も持っているところであろうか。L’indécis(ランデシ)といった勢いある人気若手アーティストの作品はもちろん、他クリエイターとのコンピレーションアルバムも多くリリースしている。
中でもL’indécisの作品は非常に人気が高く、リリースから2年後にはYouTubeの再生回数が4,000万回再生を越えている。
チャンネル登録者数こそChilledCowに比べると半数ほどに劣るが、そのコンテンツの多さ、早さ、革新性には引け目をとらない。
ChilledCowと並んで「Lo-fi hip hopのリーディングチャンネル」としての地位を確立している彼らの今後も要チェックだ。
the bootleg boy
Kina – get you the moon (ft. Snow)
筆者の肌感覚で「知名度こそ高くないものの、チャンネル登録者数はChilledCowの二番手」にあたるのが、このチャンネル。
本拠地がイギリスということもあり、現地の音楽ファンに多く愛されているのではないだろうか。
そして、彼らの特色として最も大きいのが「新作トラックリリースの速さ」。驚くべきことに、チャンネル開設した約3年ほど前から、ほぼ毎日リリースしているのである。
その中でも特に人気高いのは、イタリアのプロデューサー・Kinaによって作曲され、ボーカリストのSnowをフィーチャーした「Get You the Moon」。
2018年3月にリリースされると、2年でおよそ1.7憶回再生を記録した。
この曲を制作したKinaがボーカリストSnowを見つけたきっかけも、「YouTubeで彼が歌っていたカバーソングを聴いたこと」ということからも、今や音楽とSNSは切っても切れない縁があるといえるだろう。
「彼らのページを覗けば、日々新しい音楽を得られる」。そう思える、テクノロジーの発展に強く感謝したい。
世界は音楽であふれている
今回は、Lo-fi hip hopについて特集した。今回のタイトル「Lo-fi hip hopってなんだ?」へのアンサーは、第一に「エモくて」「チルい」インスト音楽であるということ。そしてそこに、クリエイターの未来への可能性を感じられたら、それがLo-fi hip hopであるといえる。
SNSやサブスクの発展で、世界はより音楽の魅力で充満されるようになった。それは言い換えると、我々の「音楽アンテナ」をいかに磨いていくかが問われる時代となったとも言える。
Lo-fi hip hopというニューエイジが今後どのような成長を遂げていくか、目が離せない。