音楽特集

今さら聞けない!シティーポップの歴史

シティーポップは、1970年代から1980年代にかけて日本で生まれた音楽ジャンルで、その洗練されたサウンドと都会的なライフスタイルを描いた歌詞で人気を博しました。近年、再評価されているシティーポップの歴史を振り返り、その魅力と影響について詳しく解説します。

1. シティーポップの誕生(1970年代)

シティーポップの誕生は、日本の高度経済成長期と深く結びついています。1970年代後半、日本の都市部では経済的な豊かさが広がり、人々は新しいライフスタイルや文化を享受するようになりました。シティーポップは、こうした都市生活を反映した音楽として誕生しました。

大瀧詠一とナイアガラ・トライアングル

シティーポップの先駆者として、大瀧詠一とそのプロジェクト「ナイアガラ・トライアングル」が挙げられます。彼らの音楽は、アメリカンポップスやロックの影響を受けつつ、日本的なメロディーラインを取り入れたものでした。1975年にリリースされた『ナイアガラ・トライアングル Vol.1』は、シティーポップの礎を築きました。

山下達郎とシュガー・ベイブ

山下達郎は、シティーポップを代表するアーティストの一人です。彼のバンド「シュガー・ベイブ」が1975年にリリースしたアルバム『SONGS』は、シティーポップの重要な作品とされています。山下達郎の楽曲は、洗練されたアレンジと都会的な歌詞が特徴です。

2. シティーポップの黄金時代(1980年代)

1980年代に入ると、シティーポップは日本の音楽シーンで大きなブームを迎えました。この時期、多くのアーティストがシティーポップのスタイルを取り入れ、数々の名曲が生まれました。

松任谷由実と『SURF & SNOW』

松任谷由実(旧姓:荒井由実)は、シティーポップの黄金時代を象徴するアーティストの一人です。1980年にリリースされたアルバム『SURF & SNOW』は、冬のリゾート地を舞台にした楽曲で構成され、その洗練されたサウンドと歌詞が高く評価されました。

竹内まりやと『Plastic Love』

竹内まりやもシティーポップの代表的なアーティストです。彼女の楽曲『Plastic Love』は、1984年にリリースされ、後にシティーポップの象徴的な楽曲として再評価されました。この曲は、都会的な恋愛をテーマにした歌詞と、キャッチーなメロディーが特徴です。

杏里と『CAT’S EYE』

杏里の『CAT’S EYE』は、1983年にリリースされ、日本だけでなく海外でも人気を博しました。彼女の楽曲は、ディスコサウンドやAORの影響を受けたもので、ダンサブルでありながらメロディアスな要素が特徴です。

3. シティーポップの衰退と再評価(1990年代以降)

1990年代に入ると、シティーポップの人気は一時的に衰退しました。しかし、2000年代以降、インターネットの普及と共にシティーポップは再評価されるようになりました。

インターネットとグローバルな再評価

シティーポップは、YouTubeやストリーミングサービスを通じて世界中のリスナーに再発見されました。特に、竹内まりやの『Plastic Love』は、YouTubeでの再生回数が急増し、海外のリスナーにも広く知られるようになりました。この現象は、シティーポップの再評価を加速させました。

シティーポップリバイバル

現代のアーティストたちも、シティーポップから影響を受けた楽曲を制作しています。SuchmosやLucky Tapes、Ceroなどのアーティストは、シティーポップの要素を取り入れた音楽で人気を集めています。また、夜遊び(YOASOBI)やKing Gnuなどの新世代のアーティストも、シティーポップの影響を感じさせるサウンドを展開しています。

4. シティーポップの代表的なアルバムと楽曲

シティーポップの歴史を語る上で、外せないアルバムや楽曲があります。以下にいくつかの代表的な作品を紹介します。

  • 山下達郎『FOR YOU』:1982年にリリースされたこのアルバムは、山下達郎の代表作であり、シティーポップの金字塔とされています。収録曲「Sparkle」や「クリスマス・イブ」は今でも人気です。
  • 松任谷由実『LOVE WARS』:1989年にリリースされたこのアルバムは、シティーポップの要素を取り入れた作品で、「ANNIVERSARY」などのヒット曲が収録されています。
  • 大貫妙子『SIGNIFIE』:1983年にリリースされたこのアルバムは、洗練されたアレンジとメロディが特徴で、シティーポップの名盤とされています。
  • 竹内まりや『VARIETY』:1984年にリリースされたこのアルバムには、「Plastic Love」をはじめとする数多くの名曲が収録されています。

5. シティーポップの影響と現代の音楽シーン

シティーポップは、その独自のサウンドとスタイルで、現代の音楽シーンにも大きな影響を与え続けています。

グローバルな影響

シティーポップは、日本国内だけでなく、海外のアーティストにも影響を与えています。特に、韓国のシティーポップリバイバルや、アメリカのインディーシーンでもその影響が見られます。インターネットを通じて、シティーポップの魅力は世界中に広がっています。

新世代アーティストへの影響

前述のように、現代の新世代アーティストもシティーポップから影響を受けています。彼らは、シティーポップの要素を取り入れつつ、現代の感覚で新しい音楽を創り出しています。シティーポップのリズムやメロディは、今もなお新しい音楽に息づいています。

まとめ

シティーポップは、1970年代から1980年代にかけて日本で生まれ、その後の音楽シーンに多大な影響を与えました。都市生活をテーマにした洗練されたサウンドと歌詞は、多くの人々に愛され、再評価されています。この記事を通じて、シティーポップの歴史とその魅力を再発見し、新しい視点で楽しんでいただければ幸いです。

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イチタ ユウタ

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忙しい日々だからこそ、音楽で心豊かにをモットーに。
映画音楽から民族音楽まで幅広いテリトリーを武器に取材。

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