■Profile
東洋英和女学院短期大学部保育科卒業。2002年よりテルミンを竹内正実氏に師事。05年、自身の主宰するテルミン教室「テルミン大学」を開校。池袋コミュニティカレッジ、朝日カルチャー新宿校など、首都圏のカルチャースクールにてマトリョミン教室の講師を担当している。楽器の珍しさを強調するのではなく、器楽としてのテルミン演奏を追究している。
また、テルミンを活かしたPOPユニット”ザ・プーチンズ”のメンバーとしても活動中。
本日は、宮地楽器 MUSIC JOY渋谷の教室へお邪魔して、取材しました。
なぜ、テルミン奏者になろうと?
初めてテルミンを観た(聴いた)のは「テルミン」と言う映画です。その映画の影響などで、少しテルミンがブームになっていたんですね。その時にテルミン奏者(現在はお師匠)の竹内正実さんがNHKの「トップランナー」に出演した回を観たのがきっかけです。
元々、バイオリンは弾いていたし、テルミンを考案した「レフ・テルミン」さんもチェロ奏者だったのもあり、何となく通じるものがあるのではないかと思い始めました。
テルミンについて
テルミン(Theremin)は1920年(1919年ともいわれる)にロシアの物理学者レフ・テルミン博士(Lev Termen; 1896-1993)によって発明された世界最古の電子楽器。楽器に直接触れずに演奏します。垂直、水平方向に伸びたアンテナの周囲には微弱な電磁場が形成されており、アンテナに手を近づけたり遠ざけたりすることで音の高さ、大きさをそれぞれ制御します。音域は約5オクターブ半。
[写真]簡単に外れる箱の中身
[写真]右手の形。音の高さ調整、ビブラートを行う。
[写真]左手の形。音のボリュームやフレージングを制御。
テルミンならではの苦労は?
決してポピュラーな楽器では無いので、故障したら基本的に替えがきかない点です。ギターなどのように弦が切れたから張り替えたり、他人から借りたりが出来ないので、大事なコンサートの時などは2台持っていくようにしています。
毎年、開催している「全日本テルミンフェス」では、テルミンばかりが集まっているので、その時だけは、実際に故障した人が居たのですが、他の人に借りられて感動していました(笑)。
それから、テルミンの周囲1~2メートル位に人やモノがあると、電磁場が反応して音が変わってしまう点です。バンド演奏中にボーカルの方が前を通ったりすると、予想外の音が出てしまうので気を付けています。
[写真]レッスン風景
テルミンの1番の魅力は?
うーん。電子楽器なのにアナログなところです。
電子楽器のイメージは電気で制御されたシステマチックなイメージを持つ楽器がほとんどですが、テルミンに関しては同じ電子楽器でも、とてもデリケートで人間の動作で音色がとても変わってしまうアナログな部分が1番の魅力です。
――どうやって練習するのですか?
慣れてくると楽器を使わなくても、手の形だけでイメージトレーニングができるので、外出先でよく手を動かしています(笑)
手の形がとても重要なのですが、力を入れすぎると腱鞘炎になったりしてしまうのでそこは注意が必要です。
マトリョミンとは?
テルミンの機能をマトリョーシカの中に収めたのがマトリョミン。音量を制御しなくて良いのでピッチ(音の高さ)に集中でき、表情付けに対する意識がより高くなれるそうです。
[写真]マトリョミン正面
[写真左]マトリョミン裏面
膝の上に乗せて演奏します。
2013年にマトリョミン10周年を記念して浜松市でマトリョミン奏者272人で演奏したギネス記録も持っているんですよ。値段は4万円位です。自分で絵付けする方もいます。
ザ・プーチンズとしての活動
テルミンに出会う前は演劇をやっていたマチコさん。その影響でMCは小芝居でお届け。
ロシア系怪電波ユニット『ザ・プーチンズ』
メンバーは街角マチコ(テルミン奏者)、街角マチオ(ボサノヴァギター)、さる太郎(パペット)、SONE太郎(演出家)。音楽、演劇、コントをMIXした奇想天外な舞台が人気を呼び中毒者が続出している。電子楽器”テルミン”をテーマにした世界初の音楽フェス「全日本テルミンフェス」を主催。
街角マチコ テルミン大学講師、ザ・プーチンズ ――明日、地球が滅びるなら何を食べる? |
取材まとめ
物腰が柔らかく独特なオーラを持つ街角マチコさん。テルミン愛は確かです。まだまだ、マイナーな楽器なので1人でも多くのテルミンファンを作ることに注力していくそうです。
街角マチコを通して、テルミン、マトリョミンがもっともっとメジャーになる日を楽しみにせずにはいられない。
ザ・プーチンズの中毒性のある楽曲は必聴です「キーモチィィー!」