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WALTZMORE-結成5カ月で全国ツアーを成し遂げた4人組音楽集団の魅力-

WALTZMORE tour 2019″Enchante”final series TOKYO@TSUTAYA O-Crest

WALTZMORE
こうのいけはるか(Vo& A.Gt)、中村リョーマ(E.Gt & Cho)
木挽祐次(Dr)、夏未(Key&Cho)
※現在は、アライユウセイ(Ba)が加入し5人編成

ライブレポートReports

今まで観た中で一番、会場全体の一体感を感じられたライブだった。WALTZMOREが全国16公演を回るツアー”Enchante”の16公演目のツアーファイナルが、10月22日(日)TSUTAYA O-Crestにて開催された。WALTZMOREは、こうのいけはるか(Vo& A.Gt)と中村リョーマ(E.Gt & Cho)が中心となる前身バンド「Goodbyès」に、当時のサポートメンバーであった木挽祐次(Dr)と夏未(Key&Cho) が加入し、2019年5月7日に結成された4人組音楽集団である。2019年7月に1st full album「birthday」をリリースし、全国ツアーではアルバム内の10曲をメインとしたセットリストで進められた。WALTZMORE結成後初の全国ツアーの最終公演である今回は、ゲストにMellow Youth、Absolute area、The Floorらのバンドを迎え、幕を開けた。

ゲストの演奏によりつくられたエモーショナルな雰囲気の中、WALTZMOREのメンバー4人とサポートメンバーのアライユウセイ(Ba)が白い衣装を身に纏い登場。この時点ですでに、WALTZMOREの繊細さと透明感が演出されていた。彼らが立つステージにはWALTZMOREのロゴがデザインされた黒いバックドロップが掲げられ、より彼らの存在感を大きくさせていた。

オープニングを飾ったのは「Lights Out」。青いライトはのびのびとした曲調に合い、当日は夜にも関わらず、まるで早朝の空気のごとく透き通った歌声が広がっていた。「Mayfly」「外はディストピア」ではこうのいけの色気と力強さを交えた唄声が静寂を切り裂く。しかし、ここでも彼らのゆったりとした安定感で、会場全体の空気をつくりあげる。もちろんそれだけで終わるはずもなく、サビではリョーマと夏未による心地の良いコーラスに心を奪われ、時が立つのを忘れてしまうほど。ツアー中に発表された新曲「DIVA」は、新曲とは思えぬほど印象に残る一曲だった。ぜひ、歌詞を見ながら聞きたいものだ。

時間が止まっているのではないかと思うほど会場の雰囲気はゆるやかで、観客一人ひとりが全曲を心の中で噛みしめているようだった。微笑むもの、涙するもの、すべての感情をWALTZMOREはやさしく包み込む。

「Parallel night / Insomnia」の後、こうのいけと木挽によるMCが入る。木挽が今回の全国ツアーの裏話を語った。
「今回のツアー中、16公演中11公演はイロムクとの対バンでした。イロムクとは宿が一緒で深夜2時にドロケーをしたんです。でも、みんな文化系なので(笑)少し走っただけで息切れしてたんですけど、すごく楽しかったです!」と冗談交じりに明かし、会場に笑いを誘った。
そしてMCの最後、こうのいけは語った。
「これから歌う曲は、前向きな気持ちで聞いてほしい。幸せになってほしい人や大切な人のことを思い浮かべて、耳を傾けてください。」

――そして静かに、「花鳥風月葬」がはじまる。「birthday」では10トラック目にある「花鳥風月葬」。アルバムを一から聞いていると“これで終わってしまうのではないか”という寂寥感を感じることもあった。しかし、こうのいけの言葉のおかげで脳裏にエンドロールが流れることなく、温かい気持ちで最後まで聴くことができた。そして、夏未の可憐なコーラスとともに「セカンド・ダンスの夜に」に突入。“左の頬に残るぬくもり”と歌うこうのいけは、手を頬に添え、恍惚とした表情を浮かべる。これが彼の色気の正体なのだろうかと言わんばかりの身のこなしは、老若男女を問わず見とれてしまうほど。間奏時のリョーマのギターパフォーマンスは、彼の普段のおっとりした雰囲気とのギャップを大きくさせ、すべてのファンを魅了していた。

そして、アンコールでは再びメンバーが登場。こうのいけとリョーマが「Goodbyès」として最初に発表した“はじまり”の楽曲でもある「ダイアログ」を奏でた。思い入れが強いこの曲を、ツアーファイナルのラストに演奏したのには何か理由があるのだろうか――。走り出したばかりの“WATZMOREの未来”を体現するかのようにも感じられた。こうのいけは一つひとつの歌詞を丁寧に描き出し、心地の良い美声を響かせた。

そして今回、2019年12月20日(金)にWALTZMORE presents”Sirius” をshibuya eggmanにて開催すると発表された。当日は「神はサイコロを振らない」とツーマンとなる予定。観客の声援を浴び、ツアーファイナルは惜しまれながら幕を閉じた。
結成5カ月にして全国ツアーを迎えたWALTZMORE。場内の見るものすべてにさまざまな感情を呼び起こす可憐なメロディーラインは、今後のライブでも響き続け、私たちの心の中に深く浸透していくに違いない。

【文:櫻井 志保】
曲目Set List

1.Lights Out
2.大展覧会
3.Mayfly
4.Ours
5.外はディストピア
6.DIVA
7.Parallel night / Insomnia
8.花鳥風月葬
9.セカンド・ダンスの夜に
■EN
10.ダイアログ

セカンドダンスの夜にyoutube video

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忙しい日々だからこそ、音楽で心豊かにをモットーに。
映画音楽から民族音楽まで幅広いテリトリーを武器に取材。

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